WACARSと自前デコーダーとでデコード能力を比較しているので、WACARSの「くせ」がある程度わかってきたので書いてみます。
IFのバンド幅による影響
通常のAMの場合、6kHzのバンド幅になっている受信機がほとんどですが、6kHzの場合2400Hzの信号がやや減衰されます。どのくらい落ちるかは受信機によって異なりますが、一般的に考えると減衰するほうがよい受信機であるともいえます。WACARSでデコードする場合、1200Hzとの振幅の差が大きいと失敗しやすくなりますが、極端に悪くなることはなさそうです。おそらく、他の条件(S/Nの悪化)などが重なると影響が大きくなる傾向があるようです。
振幅の変動
ACARSはVHFなのでHFの様に信号が強弱することは基本的にはなく、ましては信号を送る時間が長くても2秒ぐらいなので、受信信号の強さが変動することは、ほぼないと思われます。
受信機によってはAGCが効くため、復調された信号の最初のほうに振幅が安定しないところが現れます。WACARSの場合、どうやらFrame Syncまでの間に振幅が変動すると失敗しやすくなる傾向があるようです。AGCの効きかたが(時間軸に対して)緩やかなだと、このような状態になるものだと思われます。
ノイズ
あえて悪い環境として、ハンディ機でPCから1mぐらい離して、付属のアンテナで受信してみると、WACARSもかなりデコードできません。波形レベルでみると弱い信号はかなり歪んで、デコードできる感じがしません。耳で聞いた感じでは信号がきているのはわかるのではあるのですが。
おそらく、ノイズが多いとIFのバンド幅などの影響が大きくなるようです。これはWACARSというよりもデコーダーでは一般的なことになります。
振幅の大きさ
要はボリューム調整のことです。受信する信号によって復調した信号の大きさ(音の大きさ)が変わりますが、特にハンディ機などでAGCが効いてない場合、その差が大きくなります。
上記の悪条件をなるべく除いてWACARSでデコードした場合、レベルインジケーターが右のほうに(大きめに)しても左にほうにしても違いはありませんでした。おそらく、条件が悪い信号をデコードするときにボリュームがあのインジケーターの真ん中にくるほうがよいという意図なのかもしれません。
終わりに
WACARSは、受信側の条件が整えば、デコード能力は低くありません。波形が多少歪んでいてもちゃんとデコードします。そういう意味ではWACARSと同等な能力を持つデコーダーを作るは簡単ではないようです。
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